中大規模木造は基礎のコストダウンが大きなメリット
建築実務において、「基礎工事」は建物全体のコストに大きな影響を与える要素の一つです。
特に中大規模木造に取り組む際には、構造種別ごとの荷重や施工方法の違いが、基礎仕様に直結します。
従来、事務所や店舗、福祉施設、クリニックなどの非住宅建築では、鉄骨造やRC造が選ばれるケースが多く、それに伴い基礎も大型・高コストになりがちでした。
しかし近年では、木造化によって基礎を簡素化し、コストを削減する事例が増えています。
木造は構造自体が軽量であることから、地盤に与える荷重が小さくなり、布基礎やベタ基礎で対応できるケースが多くあります。
特に、トラス構造やラーメン構造と組み合わせた中大規模木造では、基礎設計の自由度が高まり、結果的に施工の合理化とコストダウンを両立できるのが特徴です。
この記事では、鉄骨造と木造の基礎コスト比較や、構造形式との関係性、そして実務に役立つ情報について解説します。
このコラムでわかること
- 木造化で基礎工事が簡素化できる理由
- 木造建築は鉄骨造より軽い構造である
- 荷重の違いが基礎構造に与える影響
- 木造の基礎設計の合理化とコストダウン
- 鉄骨造と木造の基礎コストを比較
- 鉄骨造の基礎仕様と工事コストの特徴
- 中大規模木造における基礎工事の特徴
- 木造化によるコスト削減の算出方法
- 基礎工事と構造形式の関係性を理解する
- ラーメン構造の基礎への影響
- トラス構造と基礎の連携ポイント
- 構造選定が基礎コストに及ぼす要因分析
- 中大規模木造で活きる基礎設計の工夫
- 基礎設計から考える木造の最適化
- トラス構造を活かした基礎の軽量化の工夫
- ウッドリンクが支援する実務支援のポイント
- まとめ
- ウッドリンクは中大規模木造の頼れるパートナー

木造化で基礎工事が簡素化できる理由
木造建築は鉄骨造より軽い構造である
木造建築の最大の特長は、その「軽さ」です。
構造躯体の重量を比較すると、木造はRC造や鉄骨造に比べて大幅に軽量になります。
この軽さにより、地盤への負荷が抑えられ、基礎をコンパクトに抑えることが可能になります。
たとえば、鉄骨造では杭工事が求められることが多いのに対し、木造では軽量のため地盤改良が不要な場合もあり、その差はコストに直結します。
荷重の違いが基礎構造に与える影響
基礎設計は、主に「建物荷重」で決まります。
木造化によって建物荷重が小さくなれば、それに応じて基礎の断面サイズ、配筋量、地業工事の規模も縮小されます。
特に中大規模建築では、架構スパンが大きくなる傾向がありますが、トラス構造やラーメン構造を適切に計画することで、荷重の集中を避け、均等な基礎配置が可能になります。
これにより、土工・鉄筋・型枠・コンクリートといった各工程の省力化が実現できます。
木造の基礎設計の合理化とコストダウン
実際の中大規模木造では、木造化により基礎工事費を削減できます。
特に鉄骨造と比較した場合、地中梁の断面縮小や杭工事が必要となることが大きな差となって表れます。
また、木造では基礎工事の施工時間も大幅に短縮されます。
これは、工期短縮=仮設費や現場管理費の削減にもつながり、発注者にとっても大きなメリットとなります。
<関連ページ>

鉄骨造と木造の基礎コストを比較
鉄骨造の基礎仕様と工事コストの特徴
鉄骨造の建築では、構造躯体の重量が重いため、杭基礎が必要となるケースが多く、地盤条件に応じて地中梁や柱脚部の基礎が大きくなります。
特に木造建築と比較した場合、鉄骨造では「基礎コストの上昇」が課題となります。
また、鉄骨造の基礎は部材が複雑で施工にも高度な精度が求められるため、鉄筋量の増加や打設工数の増大、そして工程管理の煩雑さもコスト増の一因です。
中大規模木造における基礎工事の特徴
中大規模木造においては、構造躯体が軽く、基礎設計の自由度が高いことから、布基礎やベタ基礎で対応可能なケースが多く見られます。
木構造では、トラス構造やラーメン構造を適切に用いることで、荷重を分散しつつ基礎コストを軽減することもできます。
また、構造形式と荷重バランスを最適化することで、地盤改良や杭工事といった追加費用を抑えることも可能になります。
木造化によるコスト削減の算出方法
木造における基礎のコストメリットは、主に下記の3点から算出可能です。
1.材料費の削減(コンクリート・鉄筋・型枠等)
2.施工期間の短縮による仮設費・人件費の抑制
3.地盤改良・杭工事など追加工事の回避
たとえば、鉄骨造の杭工事が必要な場合、高額な費用が発生します。
一方、木造は重量が軽いため、地盤改良工事が不要になることもあります。
実際のコストシミュレーションを行うことで、発注者への提案に説得力を持たせることが可能です。
<関連ページ>

基礎工事と構造形式の関係性を理解する
ラーメン構造の基礎への影響
ラーメン構造は、荷重の集中が局所的になりやすいため、基礎には柱脚部の剛性確保やモーメント対応が求められます。
ただし、木造の場合は鉄骨に比べて荷重が小さいため、基礎部の構造補強をコンパクトに設計でき、コストも抑えられます。
また、地震力への対応と基礎仕様の簡素化を両立する工夫も可能です。
トラス構造と基礎の連携ポイント
トラス構造は、軸力を活かして水平力・鉛直荷重を効率的に処理できるため、大スパン・大空間に対応しながら基礎のポイント荷重を抑えることができます。
これは特に中大規模木造の倉庫や店舗において有効で、独立基礎やベタ基礎での対応が可能になるケースもあります。
荷重バランスが安定するため、地盤補強の範囲も狭まり、全体としての基礎費用を圧縮できます。
構造選定が基礎コストに及ぼす要因分析
構造形式の選定は、単に空間性能の問題だけでなく、基礎設計と施工性に直結する要素です。
構造技術者と初期段階から連携し、構造形式と基礎の最適化を図ることで、コストと品質のバランスを高水準で実現することが可能になります。
ウッドリンクでは、こうした構造×基礎の最適化シミュレーションを、設計段階で提供することで、多くの建築実務者の設計支援を行っています。
<関連ページ>

中大規模木造で活きる基礎設計の工夫
基礎設計から考える木造の最適化
中大規模木造では、構造だけでなく基礎との一体的設計が求められます。
ウッドリンクでは、構造計画段階から基礎との整合を意識したプレカットの支援も併せて提案しています。
これにより、構法と基礎仕様のミスマッチを防ぎ、施工現場での手戻りや追加コストを未然に防ぐことができます。
トラス構造を活かした基礎の軽量化の工夫
たとえば、屋根にトラスを活用することで、柱位置を柔軟に配置でき、基礎構造を合理的に計画可能です。
結果的に、地業・型枠・配筋の作業範囲が縮小され、現場工程の効率化とコスト低減につながります。
ウッドリンクのプレカット技術は、設計者との協業を前提とした構造提案を強みとしており、基礎設計への波及効果も大きいのが特徴です。
ウッドリンクが支援する実務支援のポイント
ウッドリンクでは、以下のような実務支援を行っています。
これにより、設計から施工までの全体最適化とコストバランスの提案が可能となり、発注者・設計者・施工者の全体満足度を高めることができます。

まとめ
中大規模木造の実務において、構造体の軽量化がもたらす「基礎工事の簡素化」は、コスト削減の大きな鍵となります。
木造は鉄骨造やRC造に比べて建物の荷重が小さく、それに伴って基礎構造も簡素化できるため、地盤改良の回避、鉄筋量の削減、施工期間の短縮といった多角的なコストメリットを発揮します。
実際、鉄骨造で求められる杭基礎や地中梁などの重厚な基礎仕様が、木造では布基礎や独立基礎で代替可能となるケースが増えており、その差は大きな金額にも及ぶことがあります。
これは、構造選定の初期段階で木造化を視野に入れた計画ができれば、プロジェクトの事業計画において大きな優位性を確保できることを意味します。
また、トラス構造やラーメン構造など、荷重分散に優れた構造形式を選定することで、基礎部の負担が均等化され、より合理的かつ経済的な設計が可能になります。
特に大スパンを要する倉庫や店舗、事務所では、こうした構造と基礎の連動設計が効果を発揮し、施工の効率化・品質向上にも寄与します。
ウッドリンクでは、基礎と構造を一体的に考えた実務者向けの技術サポートを提供しており、構造提案、コストシミュレーションの提供を通じて、プロジェクト全体の最適化を支援しています。
木造に不慣れな設計者・施工者でも、構法・構造・基礎に関する不安を払拭できる体制が整っており、中大規模木造で導入が進んでいます。
今後、脱炭素化や省エネ化の流れとともに、木造建築はさらに注目される存在となります。
だからこそ、構造と基礎の連動性に着目し、設計初期段階からコストと構造の最適解を導き出すことが、中大規模木造の成功には不可欠です。
基礎から見直すことで、木造建築の価値はさらに高まります。
ウッドリンクは中大規模木造の頼れるパートナー

ウッドリンクは中大規模木造の頼れるパートナー
ウッドリンクを一言で言えば、「木造建築の構造体メーカー」です。
ウッドリンクでは阪神大震災を機に構造体の独自開発をスタートし、耐震性と断熱性に優れた高品質軸組パネル「プレウォール工法」を開発しました。
現場加工ではなく、プレカットと呼ばれる工場加工を行うことで、品質の安定した高精度な構造体を提供することができます。
降雪地帯で湿度の高い、北陸の気候に適した「プレウォール工法」。
その高い信頼性が支持され、ウッドリンクは構造体メーカーとして北陸No.1シェアの実績があり、倉庫や店舗、高齢者施設などの非住宅の用途にも多くの実績があります。