はじめに
2025年に施行される建築基準法の改正は、現代の社会的・環境的ニーズに対応するための 重要な一歩です。
日本の建築基準法は、1950年に制定されて以来、何度も改正されてきま したが、今回の改正は特に持続可能な社会の実現を目指したものです。
このコラムでわかること
2025年建築基準法改正の背景
次の3つの観点から今回の法改正に至ったとされてます。
①環境問題への対応
地球温暖化やエネルギー資源の枯渇といった環境問題が深刻化する中、建築物の省エネル
ギー性能の向上は急務となっています。
建築物はエネルギー消費の大部分を占めており、その効率化は環境負荷の軽減に直結します。
これにより、建築基準法の改正では、省エネ基準の適合が義務化されることとなりました。
②安全性の向上
地震大国である日本において、建築物の耐震性能の向上は常に重要な課題です。
過去の大地震の教訓を踏まえ、建築基準法は度々改正されてきましたが、今回の改正でも構造関係規定の見直しが行われます。
これにより、より安全な建築物の実現が期待されます。
③社会的要請
高齢化社会の進展に伴い、バリアフリー化やユニバーサルデザインの導入が求められています。
また、都市部の人口集中や地方の過疎化といった社会的課題にも対応するため、建築基準法の改正が必要とされています。
2025年の建築基準法改正で何が変わるのか
4号特例の縮小
これまで「4号特例」として確認申請の審査を免除されていた建築物の規模が縮小されます。
具体的には、木造2階建ての建築物が「新2号建築物」として分類され、確認申請で構造審査および省エネ適判が必要となります。
これにより、従来よりも申請期間や手数料負担が増えることが予想されます。
省エネ基準の適合義務化
2025年4月1日以降、原則として全ての建築物に省エネ基準への適合が義務化されます。
省エネ基準の適用が免除される建築物もありますが、基本的には新築・増改築の際には省エネ基準を満たす必要があります。
具体的には、外皮性能基準および一次エネルギー消費量基準を満たすことが求められます。
構造関係規定の見直し
小規模木造建築物の構造関係規定も見直されます。
壁量基準の見直しや、準耐力壁の取り扱いの変更、筋かいの対象拡大などが含まれます。
また、柱の小径の基準や基礎の基準も見直され、より厳格な基準が適用されることになります。
バリアフリー化の推進
高齢者や障害者が利用しやすい建築物の実現を目指し、バリアフリー化の基準が強化されま
す。
これにより、公共施設や住宅の設計において、段差の解消や手すりの設置などが義務付けられます。
地方の建築基準の見直し
地方の過疎化対策として、地方自治体が独自に定める建築基準が見直されます。
これにより、地方の特性に応じた柔軟な建築基準が適用されることが期待されます。
木造化ラボが提供する木造化ソリューション
非住宅木造システム「WOOCORE」
①鉄骨、鉄筋コンクリート造よりも工期短縮・建築コストを抑える
非住宅木造システム「WOOCORE」は、鉄骨や鉄筋コンクリート造に比べて施工期間が短いため、建築コストを抑えることが可能です。
プレカットされた規格部材を現場で組み立てるため、作業がスムーズに進行し、短期間で完成します。
また、木造化ラボは非住宅だけでなく、木造住宅の設計・施工の実績も豊富で、住宅向けの
基礎や建材を活用することで、コストを抑えながらも高性能な建築物を提供できます。
②構造プラン相談、構造設計から、建材の手配、施工まで対応
構造プランの相談から構造計算、建材の手配、施工までをワンストップで提供します。
豊富な経験と実績があるため、木造建築に不安がある方でも安心してご相談いただけます。
構造プランの相談では、初期段階で計画や構造についてのご相談をいただき、設計イメージや概算費用をご提案します。
木造化をご検討の方は、お気軽にご相談ください。
③脱炭素に貢献、環境に配慮した建物を建築
当社は戸建て住宅と同じ高品質な木材を使用し、優れた非住宅木造システム建築を提供します。
木造は、材料製造時の炭素放出量が鉄骨に比べて60%のCO2削減が可能です。
また、地域の県産材を活用することで、資源の効率的・循環的利用を促進し、サーキュラーエコノミーの実現にも貢献します。
木質構造パネルシステム「プレウォール工法」
①「モノコック構造」による高い耐震性を発揮
軸組と床・壁パネルを組み合わせた「プレウォール」は耐力壁をパランスよく配置する「モ
ノコック構造」。
どの方向から荷重がかかっても全体に分散し、部分的なひずみやくるいが生じにくいのが特長です。独自開発の「真壁サンドイッチ構造」により高い耐震性を実現。
柱と柱の間に壁材を組み込むことで、地震の揺れが伝わると壁が突っ張ってしっかりと耐え
ます。
繰り返しの大地震を想定した実大振動実験では積雪荷重を加えて検証。震度7を2回、震度6弱を8回、合計10回の加震に耐えられました。
②世界最高レベルの断熱性能を持つ「フェノールフォーム」を採用
プレウォールは断熱性能と気密性能に優れています。
世界最高レベルの断熱性能をもつフェノールフォームを採用しており、経年劣化しにくく建物全体を包み込むように施工することで高気密・高断熱を実現できます。
プレウォールは内部結露をさせない設計で、目に見えない壁の中を乾燥させた状態に保ち、腐朽菌やシロアリの発生を効果的に抑制できます。
加工精度の高い壁パネルとフェノールフォームを構造躯体にきっちりはめ込むことで、気密性があがり建物の寿命を長持ちさせてくれます。
③工場生産だからできる高品質・高精度な構造パネル
プレウォールは工場生産なので現場作業が大幅に削減され、工期短縮やコスト削減にも繋がります。
プレカットした部材を専用パネルラインで生産することで、高精度な品質の製品を安定的に供給します。
また上棟と同時に断熱工事がほとんど完了。現場作業が少ない分工期を短縮でき、それにより建物の構造をできる限り雨風から守ることができます。
現場作業ではできない高品質・高精度な構造パネルによって設計性能を100%発揮することが可能です。
無柱構造
①「トラス構造」で空間価値の最大化を実現
トラス構造は三角形を基本とした非常に安定した構造形式で、美観性にも優れています。
この特性を活かし、大空間や大スパンが必要な建築物、例えば平屋の工場、倉庫、店舗、事務所などに使用されます。
また、1.5mの積雪にも耐えられる高い安定性があり、コスト面でも優れたパフォーマンスを発揮します。
②自由な構造設計と耐震性重視なら「ラーメン構造」が最適
ラーメン構造は、柱と梁を剛接合することで、高い耐震性と自由度の高い空間設計が可能な建築形式です。
主に2階以上の中層建築物(事務所・福祉施設)に用いられます。
耐力壁が少なくて済むため、間仕切り壁の配置に自由度があり、大きな開口部を設けて明るい空間を実現できます。
③CLT工法で施工の迅速性を実現。多機能性を持った新しい建築の可能性
CLT(直交集成板)は、繊維方向を交差させた木材を複数枚貼り合わせて作られた板で、木材使用量が最も多い工法です。
木材を多く使用することで、脱酸素に貢献できます。
国土の約7割が森林である日本において、CLTは新たな資源活用方法として注目されています。
主に中層・高層の壁が多い建築物に適しており、屋根や壁の部分的な利用も可能で、意匠性にも優れています。
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非住宅建築物の木造化は、木造化ラボにお任せください
今回の記事では、2025年建築基準法改正について紹介しました。
当社では、木造住宅の設計、建築、施工の豊富な経験・実績を用いて、商業施設や業務施設
の木造化も高い基準で実施しています。
倉庫、店舗、事務所等の木造化を検討されている場合は、まず当社にご相談ください。