木造化・木質化とは?
「木造化」とは、建築物の梁や壁などの構造部分に関して木造で作ることを指します。鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べると軽量で、コストや工期の面でも短縮できることが大きなメリットとなってきます。
「木質化」とは、構造部分は、鉄筋コンクリートや鉄骨でつくり、内装や外装などの見える部分に関して、木で仕上げることを指します。これには、リラックス効果や断熱効果、湿度調整など様々な環境改善効果が期待されます。
このコラムでわかること
木造・木質化が注目される理由
2024年4月1日より、国が整備する公共建築物は原則としてすべて木造化することが基本方針として定められました。
これは、従来の木造化促進の対象外であった耐火建築物や中層以上の建築物も含まれることとなり、国を挙げて建築物への木材利用を促進しています。
この背景には、国内森林資源の循環利用とカーボンニュートラルな社会の実現という2つの大きな理由があります。
1_国内森林資源の循環利用
日本は森林資源が豊富ですが、その活用は十分ではありません。放置された人工林は、水源涵養や土砂災害防止といった本来の機能を果たせなくなり、問題となっています。
そこで、木造化・木質化によって木材需要を喚起し、「伐採→利用→植林→育林」のサイクルを活性化することが求められています。
木材は、鉄やコンクリートの材料となる鉄鉱石や砂とは異なり、持続可能な資源です。有限な資源の代わりに木材を利用することで、環境負荷を軽減することができます。
2_カーボンニュートラルな社会の実現
「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて実質的にゼロにすることを意味します。
日本は2050年までにカーボンニュートラル社会の実現を目指しており、その実現には木造化・木質化建築物が重要な役割を担います。木造化・木質化建築物は、木材が伐採後も炭素を貯蔵し続ける「炭素貯蔵庫」としての機能を持ちます。
さらに、伐採後の林地を適切に管理し、植林を行うことで、二酸化炭素の吸収源としての機能も期待できます。
木造建築物は建設過程における二酸化炭素排出量が鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて少なく、4〜7割程度とされています。そのため、建物の木造化・木質化は、二酸化炭素の排出抑制と吸収促進の両面から、カーボンニュートラルな脱炭素社会の実現に貢献すると考えられています。
木造と鉄骨・鉄筋コンクリート構造の違い
木造建築と鉄骨・鉄筋コンクリート構造は、それぞれに異なる特徴を持つ建築構造です。
木造建築は、その軽量性と加工のしやすさが大きなメリットです。
木材は鉄骨やコンクリートに比べて軽量なため、基礎工事の負担が軽減され、コスト削減と工期の短縮につながります。また、断熱性や調湿性にも優れ、快適な室内環境を提供します。
従来の木造建築は、耐火性や耐久性において鉄骨・鉄筋コンクリート構造に劣るというイメージがありました。しかし、現代の技術では、耐火処理や補強技術の進歩により、木造建築でも高い耐火性と耐久性を実現することが可能になっています。
例えば、ウッドリンク株式会社が開発した木質構造パネルシステム「プレウォール」は、高い耐震性、断熱性、耐久性を実現し、高いコストパフォーマンスを実現しています。
一方、鉄骨・鉄筋コンクリート構造は、耐火性、耐震性、耐久性に優れており、大規模な施設や高層ビルなどの建設に適しています。しかし、材料費や建設コストが高く、環境負荷が大きいというデメリットも存在します。
コストや環境負荷を考慮すると、非住宅用途においても木造化は魅力的な選択肢となります。特に、中小規模の店舗、事務所、倉庫などでは、木造建築の柔軟な設計と短い建設期間がメリットとなります。
さらに、環境に優しい木材を利用することで、持続可能なビジネス運営にも貢献できます。
木造化ラボにできること
木造化ラボを運営する「ウッドリンク株式会社」では、プレウォールという木質構造パネルシステムを自社の強みとしています。
これは、耐震性や断熱性、耐久性に優れた木造住宅の普及を通じて省エネで持続可能な社会に貢献しています。
ウッドリンクでは、非住宅木造建築のスペシャリストが在籍し、木造化・木質化をプロの目線からアドバイスいたします。
木造化に取り組みたい設計者の方、内装木質化で付加価値をプラスしたいビルオーナー様、ご興味があればお気軽にご相談ください。
木造化・木質化の建築実例
木造事務所兼工場
こちらは、4mの高さがある加工機を使うことを前提に建てられた木工所です。梁間方向と桁行方向はコストを考慮し在来耐力壁として計画した建物となっています。また、屋根の水平構面は高耐力ブレース構造としています。
延べ面積448.07㎡の平屋ですが、多雪地帯の冬季の使い勝手を踏まえて作業場と事務所を分棟化せず、1棟にまとめました。必要断面の確保と応力に応じて、180角の柱、120×600mmの梁を適材適所で組み合わせ、中間柱を用いることで11.7mの大空間を実現しました。
HOTEL SOBOKU
新潟県にある宿泊施設「HOTEL SOBOKU」です。
プレウォ―ル工法を採用したことで、工期短縮を実現すると同時に、木の温もりあふれる建築物となりました。
防災道の駅に隣接しているため、有事の活⽤を前提にプランニングをしております。
非住宅建築物の木造化は、木造化ラボにお任せください
今回の記事では、木造化・木質化が注目される理由。鉄骨・鉄筋コンクリート構造との違いについて紹介しました。
非住宅の店舗や倉庫、事務所などを木造で建築するには、多くのメリットがあります。
当社では、木造住宅の設計、建築、施工の豊富な経験・実績を用いて、商業施設や業務施設の木造化も高い基準で実施しています。
店舗、事務所、倉庫等の木造化を検討されている場合は、まず当社にご相談ください。