大スパン・無柱大空間とは?
無柱空間は建築物の内部に柱がないので、建築物の外側に柱を立て、その上に屋根をかけて空間を支える構造形式になっています。
倉庫のような広い無柱空間を支える時に使用されます。この大スパン・無柱大空間においては、大きく2つの構造形式が使われます。
このコラムでわかること
大スパンが可能な理由
この大スパンを実現した背景には、工法と資材があります。
下記では、3つの工法・資材についての特長を解説しています。
1_トラス構造
トラス構造は、三角形を基本単位とした構造形式です。三角形は外部からの力を効率的に分散・吸収するため、非常に安定した形状を持ちます。この特性により、トラス構造は軽量でありながら高い強度を持つ構造が可能です。
木造のトラス構造には、多くのメリットがあります。
まず、トラス構造は少ない材料で高い強度を実現できるため、軽量でありながら大きなスパン(広い空間)を支えることが可能です。このため、広い室内空間を必要とする倉庫や店舗、体育館などに適しています。
また、木材は鉄やコンクリートに比べて加工がしやすく、設計の自由度が高い点も大きな利点です。さらに、木材は再生可能な資源であり、環境負荷が少ないため、サステナブルな建築にも貢献します。
加えて、木造トラス構造は施工期間が短縮される傾向があり、コストの削減や工期の短縮も期待できるため、経済性の面でも有利です。これらの特徴により、木造のトラス構造はさまざまな非住宅用途にも適しています。
2_ラーメン構造
ラーメン構造は柱と梁を剛接合することで、水平荷重や地震力に対して強い耐久性を発揮します。
このため、耐震性が重要視される事務所や商業施設などに適しています。木材を使用することで、鉄やコンクリートよりも軽量化でき、建物の自重が軽減されるため、基礎への負担も少なくなります。
また、ラーメン構造は壁の配置に制約が少なく、広い開放的な空間を作りやすい点も特徴です。さらに、木造は鉄骨やコンクリートと比べて施工期間が短く、加工がしやすいため、設計の自由度が高いです。加えて、木材は再生可能な資源であり、環境負荷が低いことから、サステナブルな建築に貢献します。
3_CLT
CLTは木材を直交するように重ねて接着したパネル状の材料で、これにより高い強度と安定性が得られます。そのため、大規模な建築物や中高層建築にも適用可能です。
また、CLTはプレハブ方式で工場で加工されるため、現場での施工時間が短縮れ、効率的に建築が進められる点も大きなメリットです。
さらに、CLT工法は木材の特性を活かし、断熱性や防音性に優れているため、居住空間の快適性が向上します。環境面でも木材は炭素を固定するため、コンクリートや鉄に比べてCO2排出が少なく、持続可能な建築資材として評価されています。加えて、設計の自由度が高く、デザイン性にも優れるため、多様な用途での建築が可能です。
これらの理由から、CLT工法は住宅だけでなく、店舗や事務所、学校などの非住宅用途にも最適な選択肢となります。
大スパン無柱構造の建築事例
わくわくファームきらり
こちらは、多機能型福祉事業所の建築事例となります。富山県にあるため、冬場には最大
1.5mの積雪があります。そんな地域でも、最大スパン9mの建築物を実現しました。
木造トラスで大スパンを 実現した乾燥調製施設
富山県にある、多機能型福祉事業所の建築事例。冬場には最大1.5mの積雪がありますが、そんな地域でも、最大スパン9mの建築物を実現しました。
階高が6mあり大きな平屋として扱うため、耐力壁の面材化が必須でしたが、プレウォール工法による面材耐力と、中間にキャットウォークを設ける事で実現。さらにトラス工法により最大スパン11mを確保。木材あらわしもポイントとなっています。
木造建築は当社にお任せ
今回の記事では、木造建築で大スパン無柱構造を実現する方法について紹介しました。
大スパン構造は、トラス構造をはじめ、ラーメン構造、CLT工法などの工法がありますが、倉庫のような広い無柱空間を支える時に使用されます。
当社では、木造住宅の設計、建築、施工の豊富な経験・実績を用いて、商業施設や業務施
設、倉庫、事務所 等の木造化も高い基準で実施しています。
大スパン構造を用いた木造化を検討されている場合は、まず当社にご相談ください。