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CLTの耐久性と建築時のポイント

CLT耐久性建築時のポイント

CLT(Cross Laminated Timber)は、中大規模木造建築において注目を集める木材です。

その魅力は、高い強度と耐久性、施工のしやすさ、環境負荷の低さにあります。

軽量かつ断熱性があり、またCO₂固定効果が期待できるため、持続可能な建築材料としても注目されています。

しかし、CLTを実際に活用するためには、耐久性、防腐、防火、施工の各ポイントを正しく理解し、適切な設計・施工を行うことが重要です。

例えば、水分管理が不十分だと、CLTの劣化やカビのリスクが高まり、建物の寿命を縮めてしまいます。

また、火災時にはCLTが炭化層を形成することで燃え広がりを防ぐ効果がありますが、適切な設計と構造計算を行うことでその性能を最大限に引き出すことができます。

本記事では、CLTの耐久性と建築時のポイントについて詳しく解説し、CLT建築を成功に導くための方法を紹介します。

ウッドリンクでは、CLTの設計・施工を支援するソリューションを提供し、中大規模木造のさらなる普及を後押ししています。

本記事を通じて、CLTの活用を検討されている方々が、安全かつ効率的な設計・施工を実現できるよう、実践的な情報をお届けします。

CLTとは?特徴と耐久性の基本

CLTの基本構造と特性

CLT(Cross Laminated Timber)は、板材を直交に積層して接着した木質材料で、高い強度と安定性を備えています。

 

木板を直交方向に積層し、強力な接着剤で接着することで、均一な強度と剛性を確保しています。

 

これにより、従来の無垢材や集成材と比べても構造性能に優れ、特に大規模建築物の構造材として適しています。

 

CLTは、壁・床・屋根材として利用されるほか、大空間の構造要素としても応用が広がっています。

 

また、木材の持つ調湿性や断熱性をそのまま活かせるため、室内環境を快適に保つ機能も備えています。

 

例えば、木材は空気中の湿度を調整する効果があり、夏は湿気を吸収し、冬は適度な水分を放出することで、室内の快適性を向上させます。

 

さらに、木材の低い熱伝導率により、エネルギー効率の高い建築が可能であり、冷暖房コストの削減にも貢献します。

CLTの強度・耐久性の仕組み

CLTの最大の特徴は、その高い強度と耐久性です。

 

木材は元々繊維方向によって異なる強度特性を持っていますが、CLTは繊維方向を直交させて積層することで、木材特有の収縮や変形を大幅に抑えることができます。

 

この直交する積層構造により、湿度や温度変化による歪みが発生しにくくなり、特にねじれや割れに対して強い耐性を持つ建材となります。

 

また、各層が異なる方向に接着されているため、CLTは面材としての剛性を発揮し、従来の木造建築と比較して一体的な構造強度を確保できます。

 

特に、荷重のかかる壁や床に使用することで、構造全体の安定性を向上させることが可能です。

 

さらに、CLTは長期的な耐久性にも優れています。

 

適切な設計・施工を行い、防水・防腐処理を施せば、長期間の耐用年数が期待できます。

 

欧州ではすでにCLTを活用した高層木造建築が建設されており、その耐久性が実証されています。

CLTが長寿命建築に適している理由

CLTが長寿命建築に適している理由は、以下の3つのポイントに集約されます。

 

1.適切な防水・防腐対策により高耐久性を実現

 

CLTは適切な水対策を行うことで、腐朽やカビのリスクを最小限に抑えられます。

 

特に、外壁や屋根部分では防水シートや塗膜防水などの施工を行い、木材が直接雨水にさらされないようにすることが重要です。

 

2.火災時の安全性の高さ

 

CLTは炭化層を形成することで、火災時に内部まで燃え広がりにくい特性を持ちます。

 

炭化層は酸素供給を遮断し、木材の燃焼を抑制する役割を果たします。

 

そのため、一定の厚みを持つCLTパネルを使用することで、高い耐火性能を確保できます。

 

3.構造強度の維持とメンテナンスの容易さ

 

CLTは寸法安定性に優れており、適切な施工とメンテナンスを行えば長期間にわたって性能を維持できます。

 

定期的な点検を行い、防水層の劣化や接合部の緩みをチェックすることで、より長く安全に使用することが可能です。

 

これらの特性により、CLTは中大規模木造の構造材として注目されており、耐久性と環境性能を兼ね備えた次世代の建築材料として広く採用されています。

 

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中大規模木造で注目のCLTとは?

CLTの耐久性に関わるポイント

防腐・防水対策の重要性

CLTの長寿命化には、防腐・防水対策が不可欠です。

 

木材は水分を吸収すると膨張し、乾燥すると収縮する特性を持つため、水分の管理を怠ると亀裂やカビが発生しやすくなります。

 

特に、カビ菌を防ぐためには、以下の対策が重要です。

 

・適切な防水対策:外壁や屋根に防水シートを設置し、CLTパネルに直接雨水がかからないようにする。

 

・通気層の確保:内部結露を防ぐために、適切な通気層を設ける。

 

・防腐処理:木材の表面に防腐剤を塗布し、湿気の多い環境でもカビを防ぐ。

CLTの耐火性能と安全性

CLTは、火災時に表面が炭化することで内部への燃焼を抑える特性を持ちます。

 

CLT 建築物は耐火建築物とすることも可能です。 

 

1時間耐火性能は告示の仕様があり、一定の厚みを持つCLTパネルの採用や、石膏ボードとの組み合わせが必要です。

 

また、CLTの炭化速度は比較的遅く、火災時に建物の崩壊を防ぎ、避難時間を確保する効果も期待できます。

劣化を防ぐメンテナンス方法

CLT建築物の寿命を延ばすためには、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。

 

特に、以下のポイントに注意が必要です。

 

・雨水の浸入を防ぐ:シール材や防水膜が劣化していないか定期的に点検し、必要に応じて補修する。

 

・接合部のチェック:CLTパネル同士の接合部にズレや歪みがないか確認し、強度を保つ。

 

・表面保護処理:紫外線や湿気による劣化を防ぐために、適切な塗装や防水処理を施す。

 

これらの対策を講じることで、CLT建築は長期間にわたって高い耐久性を維持し、安全で快適な空間を提供し続けることができます。

 

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CLT建築の施工ポイントと注意点

設計で考慮すべきポイント

CLT建築の成功には、設計段階での適切な計画が不可欠です。

 

特に、防水・防腐対策を考慮し、建物の耐久性を高める設計を行う必要があります。

 

◾️水の影響を抑える設計

 

・CLTは水に弱いため、屋根の軒の出を設けるなどして、直接雨が当たらないようにすることが重要です。

 

・外壁には適切な防水層を設置し、通気層を確保することで湿気の滞留を防ぐ対策が求められます。

 

◾️構造計画の最適化

 

・CLTパネルはプレカットされるため、施工時の精度を確保するための接合部の詳細設計が必要です。

 

・床や壁の一体化を考慮し、剛性の高い構造を計画することで、耐震性や耐風性を向上させることができます。

CLT施工時のトラブルと対策

施工時には、CLT特有の課題に対応するための準備が重要です。

 

◾️施工時の水分管理

 

・CLTパネルが施工中に雨にさらされると、水分を吸収し、接合部の強度低下や変形の原因になります。

 

・施工スケジュールを慎重に調整し、雨天時には適切な養生を行うことが必須です。

 

◾️接合部の精度管理

 

CLTはパネル工法であるため、接合部の精度が建物の安定性に直結します。

 

・ボルト・金物の適切な選定や、現場での施工確認を徹底することで、精度を高めることができます。

 

CLT建築におけるコストと経済性

CLT建築は、従来の木造建築や鉄骨・RC造と比較してコスト構造が異なります。

 

◾️コスト削減のポイント

 

・CLTはプレカットにより、現場施工の手間を大幅に削減できます。

 

・軽量であるため、基礎工事の負担が軽減され、全体工期の短縮が可能です。

 

◾️長期的な経済性

 

・CLTは断熱性に優れており、冷暖房のエネルギーコストを削減できます。

 

・適切なメンテナンスを行えば、長期の耐久性が期待でき、ライフサイクルコストを抑えられる点も魅力です。

 

これらの施工ポイントを理解し、適切な計画を行うことで、CLT建築の安全性と経済性を最大限に高めることができます。

CLTの事例紹介(事務所):CLTと大断面集成材の大空間

このCLT事例は、ウッドリンクの事務所です。

 

ポーチ上の屋根と風除室上の屋根のみにCLTを使用しています。

 

この箇所を通常の屋根納まりとすると、大きな梁が出てくる上に、木製柱が必要となります。

 

屋根のデザインがスッキリしないこと、鉄骨柱として軽快に見せたいため、この箇所にCLTを使用しています。

 

CLTはこのように部分的に使用することができます。

 

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CLTと大断面集成材の大空間

まとめ

本記事では、CLTの耐久性と建築時のポイントについて詳しく解説しました。

 

適切な防腐・防水対策と施工管理を行うことで、CLTは長期にわたって安定した性能を発揮します。

 

特に、施工段階での水分管理や、防火・防湿対策の正しい設計が、成功の鍵を握ります。

 

CLTは商業施設やオフィスビルなどの非住宅用途に適用可能です。

 

耐震性・断熱性・環境負荷の低減といった特長を活かし、持続可能な建築の実現に貢献します。

 

これらの特性を正しく理解し、適切な設計・施工を行うことで、より多くの建築プロジェクトでCLTを活用できる可能性が広がります。

 

ウッドリンクは、そのための技術開発とサポートを続けていきます。

 

今後、CLTのさらなる普及と技術の発展により、より多くの建築物で木造化が進み、持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。

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ウッドリンク中大規模木造の頼れるパートナー

ウッドリンクを一言で言えば、「木造建築の構造体メーカー」です。

 

ウッドリンクでは阪神大震災を機に構造体の独自開発をスタートし、耐震性と断熱性に優れた高品質軸組パネル「プレウォール工法」を開発しました。

 

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