CLTとは?
中大規模木造が注目される昨今、脚光を浴びているのが「CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)」です。
CLTは、複数の板材を繊維方向が交差するように重ね、接着することで高い強度と安定性を得られる木質材料の一種であり、近年、国内でも建築実績が増加しています。
これまで木造建築といえば、戸建てなどの小規模建築が主流でしたが、CLTの登場によって中規模から大規模の建築分野にも「木の力」が本格導入され始めたのです。
日本国内においても、公共施設やオフィス、集合住宅などに木造の温もりとサステナビリティを活かす動きが活発化しており、建築基準法の改正などによる規制の緩和も相まって、CLTを取り入れた建築は今後ますます増加すると見込まれています。
木構造メーカーとして長年培ってきた経験と技術を持つウッドリンクでは、こうしたCLT建築に対し、多角的なソリューションを提供することで中大規模木造の普及と進化を後押ししていきたいと考えております。
また、CLTは単に環境配慮や強度面で優れているだけでなく、施工の効率面でも従来の鉄筋コンクリート造や鉄骨造に劣らない魅力を持ち合わせています。
たとえば、工場で加工することで、現場での作業負荷を大幅に軽減でき、かつ精度の高い仕上がりを実現できます。
結果として、工期短縮や廃材削減、労働安全性の向上といったメリットが生まれ、サプライチェーン全体を通じてのコスト削減や環境負荷低減につながるのです。
本記事では、木構造メーカーであるウッドリンクの視点から、CLTの基本や技術、そして特徴について分かりやすく解説します。
このコラムでわかること

CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)の基本
木造建築の新たなキーワードとして定着しつつある「CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)」は、複数の板材を層状に重ね、繊維方向を直交させて接着・圧着することにより高強度を実現した木質パネルです。
国土が森林に恵まれ、木を使う文化が深く根付いた日本では、古くから様々な木造技術が発達してきましたが、中大規模木造となると構造上の制約から鉄骨造やRC造が主流になってきました。
ところが、近年の建築基準法改正や素材技術の進歩により、木材でありながら高い耐震性と耐久性を持つCLTが急速に普及し、中大規模建築を可能にする材料として注目を集めています。
CLTは環境面でも大きなメリットを持ち、成長過程でCO2を吸収する木材を積極的に活用することで、地球温暖化対策に寄与すると期待されています。
また、製造プロセスにおいても、切断や接着などの作業工程が比較的シンプルで、プレカット技術との相性が良いことから、品質を安定的に確保しやすい点も特徴です。
大判パネル化が容易なCLTは、建物全体をユニットごとに構成できるため、建て方の手順もわかりやすく、工期短縮にも貢献します。
さらに、木の温もりや調湿性など、従来の木造建築において評価されてきた利点をそのままに大規模化を可能にするため、公共施設や商業施設、集合住宅など、多様な用途での活用が検討されています。
住宅以上に規模が大きくなるほど、必要となる構造強度や耐火性能への要求は厳しくなりますが、CLTはこれらの課題にもしっかり対応できるポテンシャルを備えているのです。
CLTの普及によって木材需要が高まるだけでなく、日本の林業再生や山林資源の循環利用にもつながると考えています。
特に国産材の活用は、地域経済の活性化に直結しやすく、森林の適切な維持管理にも寄与します。
こうした大きなメリットがあるCLTですが、その可能性を十分に引き出すためには、基本となる性能や扱い方を正しく理解することが重要です。
従来の木造建築とCLTの違い
木造建築といえば、日本では在来軸組工法(木造軸組工法)やツーバイフォー工法が代表的です。
これらの工法はそれぞれ長い歴史を持ち、特に日本の住宅に根付いてきました。
しかし、伝統的な工法の多くは戸建て住宅や小規模施設向けに特化しており、中大規模な建築物を構築するには課題がありました。
たとえば、大きなスパン(柱と柱の間隔)を確保しにくいことや、耐力壁の配置計画が複雑になるなどの構造的制約が挙げられます。
一方、CLTは板材をクロス方向に重ね合わせることで、従来の木造工法よりも高い剛性と安定性を獲得しました。
これにより、設計の自由度が飛躍的に増し、大きな空間を確保することが可能になります。
また、厚みのあるパネルを使用することで、遮音性や断熱性にも優れた性能を発揮します。
さらに、CLTはプレカットが前提となるケースが多いため、工場での一貫した品質管理がしやすいという利点もあります。
CLTは工場生産による精度の高さが期待でき、施工トラブルのリスクを軽減できます。
工期が短縮されるだけでなく、廃材の量も削減されるため、コスト面でも環境面でもメリットが大きいのです。
また、木材は熱による変形が比較的穏やかで、火災時に表面が炭化層を形成して内部まで火が通りにくいという特性を持っています。
これがCLTの大判パネルになると、その厚みと積層構造により耐火性能がさらに高まります。
従来の木造建築が火災リスクへの不安から敬遠されてきた面があったのに対し、CLTは適切な防耐火設計を行うことで、建築基準法の要件をクリアしやすくなっています。
このように、CLTは従来の木造建築の良さを活かしつつ、その弱点を克服して中大規模化を可能にする点で大きく異なります。
木造ならではの温もりやリラックス効果を維持しながら、コンクリートや鉄骨に負けない耐震性や耐久性を得られるのは、建築主や設計者にとっても大きな魅力と言えるでしょう。
CLTの誕生と世界的な普及動向
CLTのルーツを辿ると、ヨーロッパで開発が進められたと言われています。
ヨーロッパは古くから木材資源が豊富で、木造住宅が盛んに建築されてきました。
しかし、都市化が進む中でより大きな建築物への対応が求められ、環境意識の高まりもあって、木材を最大限に活かす新たな技術開発が急務となったのです。
その流れの中で登場したのがCLTで、軽く強い木材パネルとしてヨーロッパを中心に一気に普及が進みました。
ヨーロッパでは早期から法律や認証制度が整備され、CLTを使った建築が公共施設や集合住宅だけでなく、高層ビルの試験的プロジェクトにまで及んでいます。
こうした先行事例は、木造建築の可能性を大きく押し広げ、世界各国でCLTへの注目度を高めるきっかけにもなりました。
日本においては、気候風土や耐震要件などヨーロッパとは異なる条件があるため、CLTの導入は比較的ゆっくりと進んでいた時期もありました。
しかし、建築基準法の改正や技術の向上などによって、徐々にCLTを取り入れやすい環境が整いつつあります。
さらに、国産材を活用したCLT製品の開発が進み、国内でも製造設備を整える企業が増えています。
これにより供給面が安定してきたことも、普及を後押しする要因になっています。
世界的な視点で見ると、今後もCLTの需要は高まり続けると予測されています。
これは、単に建築素材としての魅力だけでなく、森林資源の有効活用やCO2吸収の観点からも積極的に奨励されているためです。
木材を構造材として使うことは、林業や地域経済の活性化につながり、グローバルなカーボンニュートラルの実現にも貢献します。
そのため、多くの国や地域が政策的な後押しを行い、CLTによる大規模木造プロジェクトが数多く進行中です。
中大規模木造におけるCLTの役割
CLTは、これまで鉄骨造やRC造が主流だった中大規模建築に木材を積極的に採用する上で、極めて重要な役割を担っています。
第一に、大判パネル化が容易であることから、壁や床・屋根などの主要構造部分を一挙に組み上げやすい点が挙げられます。
これは、中大規模建築に求められる大きなスパンを確保すると同時に、部材点数の削減や施工時間の短縮につながり、施工の効率化とコスト削減を同時に実現可能です。
第二に、耐震性能や耐火性能といった安全性の確保においてもCLTは大きな強みを持っています。
CLTは厚みのある木質パネルを直交に積層しているため、剛性が高く、地震時の揺れをバランスよく分散できます。
また、火災リスクに対する懸念も、適切な設計でCLTの特性を活かすことで対策が可能です。
第三に、環境負荷の低減という点でもCLTは大きな貢献が期待できます。
木材は伐採しても新しく植林・育成することで資源を循環させることができる、再生可能な素材です。
CO2を固定化する性質から、森林の適切な管理と組み合わせることで、温室効果ガスの削減に寄与します。
中大規模木造で使用する木材量は膨大ですが、その分だけ大気中のCO2を吸収・固定化していると捉えることもできます。
これらの環境効果はSDGs(持続可能な開発目標)を意識する企業や自治体にとって、大きな魅力となるでしょう。
加えて、CLTはデザイン面での優位性も見逃せません。
木材特有の優しい質感や自然の温もりを、構造体そのものに活かせるため、空間演出の幅が広がります。
こうした設計上のメリットは、単なる意匠面だけでなく、建物の付加価値を高め、利用者満足度を向上させる要素にもなります。
このように、CLTは中大規模木造を実現するための鍵といえる存在です。
高強度・高耐久・低環境負荷に加えて、意匠性や施工効率にも優れているため、総合的なパフォーマンスが高いことが特長です。
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CLTが実現する先進的な技術とは
CLTの最大の魅力の一つは、単なる木材という枠を超えた先進的な技術の塊である点です。
多層にわたって繊維方向を交差させる独自の構造は、木材の弱点とされてきた「ねじれ」や「割れ」を低減し、鉄骨やコンクリートに負けない剛性を引き出しています。
また、CLTの製造過程では、工場における精密なプレカット技術と組み合わせることで、設計通りに仕上げた大判パネルを現場に直接搬入し、短時間で組み立てるという「施工の革命」をもたらします。
今や、CLT建築は国内のみならず世界各地でさまざまな実証実験や大規模プロジェクトに採用され、その技術力の高さを証明し続けています。
耐震・耐火・防音など、多岐にわたる性能試験において着実に実績を積んでおり、近代建築のニーズを十分に満たす建材として認められるに至っています。
特に日本では、大地震を経験する中で得た耐震技術の蓄積に、CLTの特性を掛け合わせることで、より安全性の高い建物を生み出す道が拓けているのです。
また、工場生産による施工効率の向上は、建設業界が抱える人手不足や施工品質のバラツキといった課題を解消する有力な方法でもあります。
こうした実務上のメリットと、木材ならではの自然素材としての価値が相まって、設計者だけでなく施工現場からも高い評価を得ているのがCLTの強みです。
従来の木造では実現が難しかった大スパンの空間や、短工期での高品質な仕上がりを可能にするカギは、まさしくこの革新的技術にあるのです。
CLT独特の積層構造と強度
CLTの名にある「Cross Laminated」が示すように、CLTは板材の繊維方向を互いに直交させて積層することで、高い剛性と強度を発揮します。
たとえば、一般的な単板や集成材では繊維方向が同一であるため、特定の方向に引っ張りや曲げの力が加わると割れやすい弱点を抱えていました。
しかし、CLTの場合は層ごとに繊維方向を90度回転させて接着しているため、力がかかった際にも応力が分散し、破断しにくい構造になるのです。
この積層構造は、木材内部の含水率変化による反りや収縮といった問題も抑制する効果があります。
従来の木造建築では、湿度の高い環境や季節による伸縮により、材料が反ってしまい建具に隙間ができるなどの経年変化が避けられないケースもありました。
しかし、CLTは層をクロスさせることで寸法安定性を高め、長期的にみても比較的変形が少なく、狂いにくい性質を持ち合わせています。
加えて、CLTパネルの厚みを増やすことで、さらに剛性と強度を向上させることが可能です。
これは、中大規模建築において大きな空間を支えるためには、鉄骨やコンクリートによる補強が必要とされてきた常識を覆し、木材だけで建築物を成立させる道を切り拓いているといえます。
あくまで木材の自然素材としての性質を活かしながらも、工学的なデータに基づいた材料選定と設計を行うことが、CLTを用いた建築で成功を収めるポイントです。
木材のあたたかみと最新の構造技術が融合したCLTならではの「強さ」は、まさにこれまでの木造常識を一新する革新的な可能性を秘めているといえるでしょう。
CLTの耐震・耐火・防音などの性能
建築物において、安全性と快適性を支える要素として欠かせないのが、耐震・耐火・防音などの性能です。
特に日本では、地震対策が建築の根幹を成すといっても過言ではありません。
CLTは、このような高いレベルの安全基準をクリアするためのポテンシャルを備えています。
板材を直交積層しているので、水平・垂直方向の剛性が均等に高まり、地震時の揺れを局所的に集中させず、全体にうまく分散させられるのです。
また、火災に対してもCLTは優れた特性を持ちます。
表面が炭化層を形成することで、内部まで燃焼が進行しにくくなる「自己防火性」は、CLT特有の積層構造が持つ利点の一つです。
十分な厚みがあるパネルであれば、火災時に表面の炭化層が一種のバリアを形成し、内部の材に酸素が届きにくくするため、燃焼速度を大幅に遅らせる効果が期待できます。
さらに、耐火性能を高めるためには、石膏ボードなどの不燃材との組み合わせや防火塗装などの対策も可能で、法令で定められた耐火基準を満たす設計が行われています。
防音性能に関しても、CLTの層構造が活きています。
木材は基本的に柔らかく、音を吸収しやすい素材ですが、従来の薄い木材単板では高周波や低周波の音が漏れる問題がありました。
CLTは多層であることに加え、製造時の接着剤による密着度も高いことから、隙間を少なくし、音を伝えにくい構造を形成できます。
床スラブや壁にCLTを利用することで、高い遮音性能を確保する事例も増えてきています。
こうした性能面の総合力が、CLTが中大規模の建築分野で注目を集める一因です。
安全性と快適性を両立しながら、木のぬくもりと環境への配慮も同時に実現できる点は、大きな付加価値といえるでしょう。
CLTのプレカット&パネル化がもたらす施工効率
CLTの導入による大きなメリットの一つが、施工効率の革新です。
従来の木造建築では、現場での墨出しや刻みといった作業が多く、熟練の職人技が必要とされるうえに、天候や作業環境の影響を受けやすいという課題がありました。
しかし、CLTの場合は工場でのプレカットと大判パネル化が標準的な手法として確立されているため、現場での作業時間を大幅に削減できます。
現場でのサイズ合わせや微調整がほぼ不要となり、工程のミスや材料ロスを最小限に抑えられるのです。
さらに、大判パネルができあがった状態で現場に運搬されるので、組み立て工程はクレーンでパネルを設置し、金物で固定していくというシンプルな手順になります。
通常の軸組工法やツーバイフォー工法と比較しても、明らかに工期が短縮されるケースが多く、建設コストの削減にも大きく寄与します。
また、工期の短縮は施工に従事する人員の稼働日数を抑えられるだけでなく、騒音や振動、周辺環境への影響を短期間に限定できるというメリットもあります。
例えば、都市部の建築工事では周囲の住民や事業者に対して騒音や粉塵などのストレスを与えがちですが、プレカット・パネル化による一括施工を導入すれば、それらのマイナス要素を極力減らすことが可能になります。
また、工場生産がメインになることで、作業員の安全面も向上し、労災リスクを低減できる点も重要です。
工期短縮・施工手間軽減・品質安定の三拍子がそろったCLTのプレカット&パネル化は、いまや建築業界が抱えるさまざまな課題を解決する、画期的な手法として急速に普及が進んでいるのです。

中大規模木造を支えるCLTの特徴
CLTがこれほどまでに注目を集めている背景には、その多彩な特徴が大きく関わっています。
建築物の強度や耐久性を確保するうえで、鉄筋コンクリート(RC)や鉄骨造(S造)はこれまで主流とされてきました。
しかし、木材という自然素材に改めて光が当たっている今、CLTが持つ環境性能や設計自由度などの要素は、サステナブル社会を志向する現代にマッチしたものといえるでしょう。
具体的には、CO2削減への貢献や自然災害に強い構造、デザインや空間づくりの柔軟さ、そしてメンテナンスのしやすさやライフサイクルコストの低減まで、CLTがもたらすメリットは実に多岐にわたります。
たとえば、一般的な認識としては「木造は火や水に弱い」「大きな建物は向かない」といった固定概念が根強いかもしれません。
しかし、現代のCLTによる建築では十分に耐火・耐水・耐久性を確保できる技術が確立されており、実際の施工事例を通じて安心性が確認されています。
さらには、木という素材がもつ調湿性や生物的な快適性が、利用者や居住者にとって魅力的な空間づくりにも貢献します。
CLTがもつ3つの大きな特徴として「環境にやさしいサステナブル素材」「設計の自由度と空間デザイン性」「長期的な維持管理とコストメリット」が挙げられます。
木材が本来持つ特質をどのように最大限に引き出し、中大規模木造を実際にビジネスとして、あるいは公共事業として成立させていくのか—そのヒントを探る上で、CLTの特徴理解は非常に重要なステップです。
CLTは環境にやさしいサステナブル素材
近年、地球温暖化や気候変動への対応が世界的な課題となる中で、建築分野でも環境負荷を低減するための取り組みが活発化しています。
そんな時代の要請に応えるのが、CLTをはじめとする木質材料です。
木材は生育過程でCO2を吸収し、炭素を蓄える性質を持つため、伐採後も炭素を固定し続けます。
これにより、木造建築を増やすことは、実質的に大気中のCO2削減に貢献すると考えられています。
さらに、適切な森林管理を行いながら継続的に植林を進めれば、伐採後の再生サイクルによって持続可能な資源利用が可能です。
鉄やコンクリートといった鉱物由来の建材と比較して、再生不能な資源の枯渇を気にする必要がないのは大きな利点です。
日本国内には豊富な森林資源が存在し、長年手入れが行き届かないまま放置されている山林も少なくありません。
CLTの普及が進めば、これらの国産木材を有効活用し、地域経済の活性化と森林整備の促進につながる可能性が高まります。
また、製造プロセスにおいても鉄骨やコンクリートと比較してエネルギー消費量が少なく、廃材もリサイクルしやすいという特徴があります。
CLTパネルは大判化が可能なため、部材同士の接合部を極力削減し、断熱や気密性も高めやすいのです。
これらの要素が省エネルギー建築の実現に寄与し、建物の使用時にも冷暖房効率が向上することで、運用コストと環境負荷の削減につながります。
環境にやさしい素材を使いながらも、中大規模建築の機能性や安全性をしっかり担保できる点は、今後ますます注目されるポイントとなるでしょう。
CLTの設計の自由度と空間デザイン性
CLTが中大規模木造において魅力的な選択肢となる理由の一つが、設計の自由度と空間デザイン性です。
従来の木造建築で大空間を作るには、多数の柱や梁を配置しなければならず、空間のレイアウトに制約が生じるケースが多く見られました。
しかし、CLTの大判パネルを使えば、強度と剛性がしっかり確保できるため、柱の本数を削減できたり、大きなスパンを確保できたりと、開放的なデザインを実現しやすくなります。
また、CLTパネルは壁や床を面として構成するため、建物の耐力バランスを考慮したうえで柔軟にプランニングが可能です。
従来の工法では柱や梁の位置が固定されがちでしたが、CLTなら構造体を壁パネルや床パネルとして機能させることで、プラン上の制約を大幅に緩和します。
公共施設や商業施設、オフィスや集合住宅など、それぞれの空間ニーズに合わせた設計アイデアを盛り込みやすいのです。
デザイン面でも、木材の温かみを最大限に活かせる点がCLTならではの魅力です。
表面を木肌のまま見せる内装設計にすることで、建物利用者にリラックス効果や自然との一体感をもたらすことができます。
このように、CLTの設計自由度と空間デザイン性は、建築に関わる多くのプロフェッショナルから高い評価を受けています。
木が持つ温かい表情と、現代建築に求められる技術力が融合した空間は、多様化する建築ニーズに応える有力なソリューションとしてますます注目されるでしょう。
CLTの長期的な維持管理とコストメリット
建築プロジェクトを進めるうえで、初期投資だけでなく長期的な維持管理やライフサイクルコスト(LCC)を考慮することは非常に重要です。
CLTを用いた中大規模木造建築には、従来の鉄骨造や鉄筋コンクリート造にはないコストメリットが期待できる場面があります。
まず、施工段階での工期短縮による人件費や仮設費の削減、廃材処理費の低減などは大きな利点です。
プレカットや大判パネルの活用が標準的なCLT工法では、工程管理もシンプルになり、現場対応のミスが減ることで再工事費などの追加コストも発生しにくくなります。
木材自体が軽量であることから、基礎工事の負担が比較的軽減できるケースがあります。
重たいコンクリート構造物に比べ、地盤への影響が少ないため、地盤改良工事の範囲や費用が抑えられる可能性もあるのです。
特に、土壌条件があまり良くないエリアや、大規模な基礎工事が困難な敷地においては、CLTの軽量さが大きなアドバンテージを発揮するかもしれません。
さらに、長期的な目線では、木造特有の経年劣化やメンテナンス計画が気になるところですが、CLTは繊維方向を直交させて積層しているため、従来の木材よりも安定度が高く、反りや割れ、湿気によるダメージが起こりにくい構造です。
初期費用だけでなく、ライフサイクルを通じた経済性に優れた選択肢として、CLTはこれからの中大規模木造建築を支える重要な素材となり得るのです。

まとめ
CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)は、木材の繊維方向を直交させて積層することで高い剛性と安定性を備えた新世代の木質材料です。
その優れた強度・耐震・耐火性能は、従来の木造建築では難しかった中大規模建築の可能性を大きく広げ、日本のみならず世界各地で注目を集めています。
さらに、プレカットや大判パネル化による施工効率の向上、デザイン性の自由度の高さ、そして環境負荷の少ないサステナブルな素材特性など、多くの魅力が詰まっています。
環境意識やSDGsへの対応が加速する中、再生可能な木材を用いた建築は、CO2吸収や森林資源の循環利用という観点でも有力な選択肢と言えます。
また、林業の再生を通じた地域活性化や、地産地消による経済循環の創出など、社会課題の解決にもつながるのがCLTをはじめとする木造建築の大きな利点です。
ヨーロッパを中心に高層木造が次々に誕生しているように、日本でも行政の規制緩和や関連法整備、技術認定制度などが整いつつあり、今後はさらなるマーケット拡大が見込まれます。
しかし、普及にあたってはまだ課題も多く残されています。
火災リスクや耐震性能に対する一般的な不安の払拭、法的要件や認定取得の手続き、そしてCLTの生産・流通体制の確立など、克服すべきハードルは決して低くはありません。
だからこそ、木構造メーカーとして豊富な経験とネットワークを持ち、設計から施工、アフターサポートまでを一貫して担える体制をもつ企業が重要な役割を果たすのです。
ウッドリンクは、そのような総合的なソリューションを提供するパートナーとして、中大規模木造建築の発展を力強く支えています。
CLTが切り開く木造建築の新しい未来は、環境配慮やデザイン性、施工効率といった複数のニーズを同時に満たしながら、私たちの暮らしや街並みに“木の温もり”と“循環型社会”という価値を添えてくれます。
この先、技術の進化や市場の拡大によって、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と同等、あるいはそれ以上の地位を獲得する可能性も十分にあるでしょう。
ウッドリンクは、そうした明るい木造建築のビジョンを現実のものにし、お客様や地域社会、そして地球環境への貢献を目指しています。
CLTによる中大規模木造の可能性を、ぜひ多くの方に知っていただき、新たなプロジェクトに生かしていただければ幸いです。
中大規模木造にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
ウッドリンク は 中大規模木造 の頼れる パートナー
ウッドリンクを一言で言えば、「木造建築の構造体メーカー」です。
ウッドリンクでは阪神大震災を機に構造体の独自開発をスタートし、耐震性と断熱性に優れた高品質軸組パネル「プレウォール工法」を開発しました。
現場加工ではなく、プレカットと呼ばれる工場加工を行うことで、品質の安定した高精度な構造体を提供することができます。
降雪地帯で湿度の高い、北陸の気候に適した「プレウォール工法」。
その高い信頼性が支持され、ウッドリンクは構造体メーカーとして北陸No.1シェアの実績があり、倉庫や店舗、高齢者施設などの非住宅の用途にも多くの実績があります。