都市(まち)の木造化推進法と公共建築の木造化・木質化の動き
近年、脱炭素社会の実現に向けて、建築物への木材利用を促進する動きがますます活発になっています。
その背景には、森林資源の持続的な活用と二酸化炭素(CO₂)削減効果の高い木造建築への期待があり、特に中大規模木造の分野が注目を集めています。
そうした流れを受けて誕生したのが、いわゆる「都市(まち)の木造化推進法」とも呼ばれる「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」です。
「公共建築物等木材利用促進法」が改正され、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」となりました。
この法律は、官民双方が協力しながら、建築実務者が木材利用を積極的に取り入れるための環境整備を行うことを目的としています。
実際、公共建築の木造化・木質化はすでに加速しており、多方面へと広がっています。
公共建築物における木造化率は年々上昇傾向にあり、その成果は徐々に民間建築物にも波及しています。
こうした取り組みを後押しするため、各自治体や関連団体では、建築物木材利用促進協定の締結などが進んでおり、ますます木材を使いやすい環境が整備されつつあります。
ウッドリンクは、豊富な実績とノウハウにより、木造化・木質化を可能にするさまざまなソリューションを提供しています。
本記事では、「都市(まち)の木造化推進法」を中心とする木材利用促進の背景や意義を整理し、公共建築の木造化・木質化に関する動向から今後予想される民間建築物への波及効果までを詳しく解説します。
このコラムでわかること

脱炭素社会を支える「都市(まち)の木造化推進法」とは?
脱炭素社会を目指すうえで、建築物の木造化・木質化を推進することは極めて大きな役割を果たしています。
なぜなら、木材は成長過程で二酸化炭素(CO₂)を吸収・固定化し、さらに建築資材として利用された後も長期的に炭素を貯蔵できるという特性を備えているからです。
こうした森林資源の循環利用が進めば、化石燃料や高エネルギー資材に対する依存を軽減し、地球温暖化対策にも寄与することが期待されます。
そうした流れの中、施行されたのが「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(以下、都市(まち)の木造化推進法)です。
通称「都市(まち)の木造化推進法」と呼ばれるこの法律は、公共建築だけでなく民間建築物も含め、幅広く木材の利用を促進するための仕組みを整備した点に特徴があります。
多角的に木造建築を広めるための施策が盛り込まれており、中大規模木造を新たに計画する事業者や建築実務者が、より実行しやすい環境が整いつつあります。
また、この法律がめざすのは単なる「木を使った建築」ではなく、「木材利用を通じた脱炭素社会の構築」という大きな目標です。
そのため、複数の省庁が連携してガイドラインを作成すると同時に、自治体レベルでも補助制度や助成金の導入などが期待されています。
こうした官民一体の取り組みこそが、この木造化推進の最大の特徴であり、今後ますます利用者の裾野が広がると見込まれます。
都市(まち)の木造化推進法の背景と狙い
「都市(まち)の木造化推進法」が制定された背景には、地球温暖化への対策強化が求められている現状があります。
パリ協定に代表される国際的な枠組みの中で、日本は温室効果ガス排出量の大幅な削減目標を掲げており、その実現手段の一つとして森林資源の活用が位置づけられてきました。
従来から公共建築物における木材利用を促す動きはあったものの、より大きな規模で脱炭素社会を推し進めるには、公共だけでなく民間建築も含めた包括的なアプローチが必要とされていました。
そこで打ち出されたのが、本法律の特徴である「官民一体の取り組みの強化」と「幅広い木材利用の推進」です。
具体的には、国や地方公共団体が示す基本方針をベースとして、木材利用を促すための仕組みづくりが進められます。
たとえば、木造化に必要となる技術開発への支援や、建材としての木材の品質基準の整備など、実務レベルの課題を解消するための施策が盛り込まれているのです。
また、「森林・林業の振興」と「地域経済の活性化」という狙いも見逃せません。
国内の森林資源を適切に管理し、伐採から加工・流通・建築に至るバリューチェーンを確立することで、地域の雇用創出や産業振興に寄与するという期待もあります。
今後は、建築実務者が木造化プロジェクトを立ち上げやすくなるだけでなく、地域産材を活用しやすい環境も整備されていくでしょう。
脱炭素社会実現に向けた重要ポイント
脱炭素社会の実現は、エネルギーや運輸などの分野にとどまらず、建築分野でも喫緊の課題となっています。
特に日本では、建築物のライフサイクル全体を通じたCO₂排出量を抑制することが強く求められており、その一環として「木造化・木質化の推進」が浮上しています。
木材は成長過程でCO₂を吸収し、建築材として利用されたあとも炭素を固定化するため、温暖化対策として有効とされています。
脱炭素社会実現のポイントを整理すると、大きく以下の3点に集約されます。
1.木材利用の拡大
公共・民間問わず、建築に木材を使うことで化石燃料由来の建材使用を削減し、カーボンニュートラルに近づく。
2.ライフサイクルの最適化
設計段階から解体・再資源化まで見据えた「LCA(ライフサイクルアセスメント)」視点を導入し、環境負荷を最小化する。
3.技術・制度の整備
大規模木造にも対応できる耐火・耐震・防音などの技術開発、さらに法整備や助成制度を通じた普及推進。
このうち、技術・制度面は「都市(まち)の木造化推進法」をはじめとする政策に大きく依存しますが、実際に木造化を進めるのは建築実務者や木構造メーカーなどの民間事業者です。

公共建築の木造化・木質化が進む理由と最新トレンド
公共建築の木造化・木質化が近年大きく進展している理由としては、まず国や自治体による政策的な後押しが挙げられます。
2010年に施行された「公共建築物等木材利用促進法」を皮切りに、公共施設をはじめとする大規模建築物に木材を使うことが推奨され、2020年代に入る頃には各種助成制度や技術ガイドラインが整備されてきました。
その流れを加速させたのが、前述の「都市(まち)の木造化推進法」であり、公共建築を中心に全国的な取り組みがさらに強化されています。
また、木造化・木質化のメリットは環境面だけにとどまりません。
木材には断熱性能や調湿機能といった自然素材特有の快適性があり、利用者の心理的ストレスを軽減する効果があることもわかっています。
病院や福祉施設、学校など、人が長時間滞在する建築物において木造化・木質化を進めることで、利用者の満足度や健康指標を向上させることを目指すことができます。
こうした付加価値の高さが、各自治体にとっても魅力的な要素となっています。
さらに、近年の木構造技術の進歩により、耐火性能・耐震性能を確保した大規模木造が実現可能になりました。
たとえばCLT(Cross Laminated Timber)工法や燃えしろ設計、各種接合金物の高度化など、ハードルを下げる技術革新が相次いでいます。
これにより、公共施設のような大断面や大スパンが必要な建築でも、木造化を検討できる機会が増えました。
一方で、公共建築への木造化を進めるうえでは、コストや施工期間、メンテナンス面など、依然として課題も存在します。
しかし、国や自治体の補助金制度をうまく活用したり、設計段階から木材調達やプレカットを最適化したりすることで、これらの課題は十分に克服可能です。
結果的に、公共建築で培われた技術やノウハウが民間建築にも波及するという、好循環が生まれています。
今後は、さらに多様な用途で木造化・木質化が進むと見られており、そのトレンドをいち早くキャッチして実務に生かすことが、建築業界全体の発展において重要となるでしょう。
公共建築物の木造率向上の背景
公共建築物における木造率向上が進んできた背景には、主に以下の要因が挙げられます。
1.法整備による後押し
2010年に「公共建築物等木材利用促進法」が制定され、一定規模以上の公共建築には積極的に木材を利用することが努力義務化されました。さらに「都市(まち)の木造化推進法」の施行によって、公共建築物の木造化がより強力に推進される流れが生まれました。
2.行政による支援策の充実
木造化に取り組む自治体や事業者に対し、国や地方自治体が助成金や補助金を提供しています。これによりコスト面のハードルが下がり、構造計算や耐火設計などの技術的課題にも取り組みやすくなりました。
3.木造技術の進歩と評価手法の確立
CLTなどの新工法や燃えしろ設計などの技術確立により、大規模木造でも安全性や機能性が担保できるようになりました。建築基準法に基づく耐震・耐火性能の評価手法も整備が進み、審査上のリスクが軽減されてきたことも大きな要因です。
このように、法整備と技術進歩、そして行政支援の3つの要素が重なった結果、公共建築物における木造率が着実に向上してきました。
木造化・木質化への意欲を持つ自治体ほど、新規施設や改修時に積極的に木造化・木質化を採用し、その実績がさらなる信頼感を醸成するという好循環が生まれています。
また、官民連携によるプロジェクトが増えることで、建築実務者も木造建築のノウハウを蓄積しやすくなり、民間分野への波及が期待できる段階にまできています。
木造化・木質化で得られる効果と課題
公共建築の木造化・木質化が推し進められる大きな理由として、環境面のメリットだけでなく、利用者の快適性向上やデザイン性の高さが挙げられます。
木材は鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて熱伝導率が低く、断熱効果に優れています。
また、調湿機能も期待できるため、室内空間を快適な温湿度に保ちやすいという特長があります。
学校や病院、介護施設などで木質空間が取り入れられる例が増えているのは、こうした快適性がユーザーや施設管理者に認知されてきたからです。
さらに、木の香りや肌触りにはリラックス効果があるという研究結果も出ており、災害時の避難所としても利用される公共施設においては、人々の心理的ストレスを軽減する役割も期待できます。
デザイン面でも、木造化・木質化された建物は地域の景観に溶け込みやすく、地場の木材を使うことで「地域らしさ」を表現することが可能です。
これらは観光資源としての価値や地域コミュニティの活性化にも寄与することが多く、自治体にとっても魅力的な要素と言えます。
一方、課題も存在します。
特に大型の公共施設を木造化する場合、構造安全性や耐火性能をどう確保するかは大きな懸念点です。
木材は燃えやすいというイメージが強いものの、実際には一定の厚みを持たせることで表面が炭化層を形成し、内部を守る「燃え止まり現象」を活用した燃えしろ設計が可能です。
ただし、きちんとした構造計算や防耐火設計を行わないと、安全性が担保できないリスクがあります。
コスト面では、世界的な木材需要の高まりや為替相場の変動によって、木材価格が不安定になる可能性があります。
しかし、地域産材を活用するなどの工夫や、プレカットの活用による施工期間短縮で、コストバランスをコントロールすることも可能です。
ウッドリンクは、こうした課題への対応策を豊富に持っており、公共施設の木造化・木質化を検討するうえでの総合的なパートナーとして多くの実績を積み重ねています。
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木造化・木質化への基本方針と設計のポイント
木造化・木質化を推進するうえで重要なのが、国や自治体が定める基本方針と、それを建築実務の現場に適切に落とし込むための設計・施工上のポイントです。
脱炭素社会の実現をめざす国の方針と連動しながら、公共建築物のみならず、民間の商業施設や集合住宅などにも木材利用の拡大を促す動きが加速しています。
設計の段階では、従来のRC造や鉄骨造とは異なる、木造ならではの留意点が数多く存在します。
構造計算においては、木材の強度や接合部の挙動などを的確に評価する必要があります。
加えて、耐火設計や防音対策といった機能面の確保も重要です。
CLT工法など新しい技術を導入する場合は、建築基準法や関連規定を十分に検討したうえで、関係当局との協議を行う必要があります。
もう一つ大切なのが、木材の選定と品質管理です。
国産材を使う場合は地域産材を優先することで、物流コストの削減や地域経済への貢献が期待できますが、必要とされる強度・品質を満たすかどうかを見極めなければなりません。
プレカット会社や木構造メーカーと連携し、部材の含水率や加工精度を厳密に管理することが、施工品質と耐久性を保つカギとなります。
ウッドリンクでは、こうした方針と設計・施工の要点を一体的に考慮し、中大規模木造プロジェクトの全体最適化を図っています。
具体的には、設計段階から構造シミュレーションを行い、各種性能を満たす最適解を導き出すと同時に、実務に関するサポートも手厚く行います。
結果として、木造化にチャレンジする事業者や設計事務所の不安を軽減し、より多くのプロジェクトで木材利用が進むような環境づくりに貢献しています。
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国の基本方針と計画策定の流れ
国が定める「建築物における木材の利用の促進に関する基本方針等」は、脱炭素社会実現の一環として、森林資源の活用と環境負荷の低減を大きな柱としています。
さらに、地域産材の利用促進による地域経済の活性化や、木質空間がもたらす健康・快適性向上といった効果も重視されており、行政機関だけでなく民間事業者も含めた多様なステークホルダーが参画することが求められています。
基本方針を具体化するプロセスでは、まず各省庁が連携してガイドラインや技術基準を整備し、それを自治体や業界団体に周知していきます。
たとえば、国からは、公共建築物や住宅への木材利用を促進するための指針や助成制度が次々と打ち出されてきました。
また、地方自治体も独自に「木のまちづくり条例」や「木材利用促進計画」を策定し、地域の特性や産業構造に合わせて取り組みを推進しています。
事業者や建築実務者がプロジェクトを進める際は、こうした法令やガイドライン、助成制度を踏まえながら、計画策定を行う必要があります。
具体的には、建築用途や規模に応じた構造種別(在来軸組工法、金物工法、CLT工法など)を選定し、設計の初期段階で行政との協議を行うことで、不確定要素を早期に排除します。
中大規模木造における設計・施工上の留意点
中大規模木造の設計や施工を行う際には、木造住宅とは異なる高度な技術と知識が求められます。
まず最初に考慮すべきは、構造設計と防耐火設計です。
公共建築や商業施設のように多数の人が利用する建物では、地震や火災に対する安全性をより厳しく検証する必要があります。
CLTや集成材を用いた大スパン構造を採用する場合は、接合部や仕口の強度が適切に保たれているか、実験データや計算モデルをもとに検証するのが一般的です。
特に耐火設計の分野では、従来の「木は燃えやすい」というイメージから大きく進化しており、一定の断面を持つ木材が炭化層を形成することで内部構造を保護する「燃えしろ設計」が注目されています。
また、高層木造では、建築基準法の高さ制限や耐火規制をクリアするために、ハイブリッド構造(下層はRC造、上層は木造など)が採用されるケースも増えています。
施工段階では、プレカット工場での高精度加工が大きなポイントになります。
中大規模では部材数が多く、一つひとつの接合部が建物全体の強度に大きく影響します。
構造設計データと連携し、プレカット工場で加工図面を自動生成することで、施工ミスや加工誤差を最小限に抑えることができます。
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公共建築から始まる民間建築への波及効果と今後の展望
公共建築の木造化・木質化が進むことで得られた技術やノウハウは、必ずしも公共の領域だけにとどまりません。
多くの建築実務者や木構造メーカー、自治体関係者が協力して成功させた事例は、民間建築分野にも大きな影響をもたらします。
例えば、学校や市庁舎、図書館などの公共施設で培われた耐火設計や大スパン構造のノウハウは、オフィスビルや商業施設など、より多様な建築用途に応用されるようになります。
実際、近年では木造高層ビルの計画や大規模な商業施設の一部を木造化する動きが国内外で活発化しており、木材利用の範囲が格段に広がっています。
また、公共施設の木質空間が利用者に好評を博すことで、「木の建築」が社会的に認知される機会が増えます。
地域の人々が日常的に利用する施設が木質化されると、その快適性や温かみが口コミで広がり、木造建築に対する心理的なハードルが下がる効果が期待できます。
こうした市民の理解や支持が高まれば、結果として企業がオフィスや店舗の木造化・木質化を検討しやすくなり、民間分野でのプロジェクトも増えていくという好循環が生まれます。
今後の展望としては、まず行政側がさらに大胆な政策支援を打ち出す可能性があります。
脱炭素社会に向けた国際的な動きは急速に進んでおり、日本でもカーボンニュートラルを実現するためのロードマップが具体化しています。
その一環として、木材利用の拡大が有望な手段と位置づけられ、補助金や減税措置などが拡充される可能性が高いでしょう。
これらの施策をうまく活用できれば、中大規模木造の需要はさらに拡大する見込みです。
一方で、供給体制の整備や技術者の育成といった課題も依然として残ります。
大規模な木造プロジェクトが連続して立ち上がると、国内の木材需給バランスが崩れたり、専門技術者の不足が顕在化したりする懸念があるからです。
しかし、公共建築で積み重ねてきた経験やネットワークを活かし、産学官連携で解決策を模索していくことが可能です。
ウッドリンクとしても、こうした課題に対して積極的に取り組み、木構造業界全体の底上げを図ることで、脱炭素社会に貢献していきたいと考えています。
公共建築物の木造化の現状と成果
公共建築物の木造化は、全国で着実に成果を上げつつあります。
各省庁の統計や自治体の報告によれば、新設公共施設のうち木造化される割合が年々上昇しているほか、改修工事の段階で木質化を施すケースも増えています。
特に、学校や保育園、図書館など、子どもたちや地域住民が長時間滞在する施設での採用が顕著で、木の香りや触感が利用者の心理的ストレスを軽減し、学習意欲や地域コミュニケーションを高める効果があると評価されています。
また、公共建築物の木造率向上により、新たな木材需要が生まれ、林業や製材業、プレカット工場など関連産業にも波及効果が及んでいます。
地元の森林を伐採して製材し、地元のプレカット工場で加工するという地域循環型のビジネスモデルが確立されることで、雇用の創出や地域経済の活性化につながる事例も報告されています。
さらに、地元産材を使った公共施設は、地域の「顔」としてのシンボリックな存在になり得るため、観光客や他自治体からの視察を呼び込むメリットも期待できます。
ただし、公共建築物の木造化を一歩進めるには、法規制や行政手続きへの対応が依然として課題となる場合があります。
特に都市部では、防火地域や準防火地域に指定されているエリアが多く、耐火設計が複雑になるケースが珍しくありません。
これらの課題を解決することで、公共建築物の木造率を一層高め、脱炭素社会への転換を加速させることが期待できます。
民間建築分野への波及とビジネスチャンス
公共建築物の木造化が成功事例を積み重ねるに従い、そのノウハウや施工技術が民間建築分野にも波及しています。
もともとコストや耐久性、火災安全性といった懸念から、オフィスビルや商業施設、集合住宅などでは鉄骨造やRC造が主流でした。
しかし近年は、木材の強度や耐久性を高める加工技術が進化し、耐火設計の実績も増えていることから、民間建築においても木造化が現実的な選択肢として認識され始めています。
また、脱炭素経営を目指す企業が増えたことも、民間建築の木造化を後押しする要因の一つです。
企業が所有する社屋や工場、物流倉庫などを木造化すれば、カーボンフットプリントの削減に直結し、社会的な評価も高まります。
さらに、木材を使用することで、社屋内の快適性や従業員の満足度が向上するといった副次的効果も期待できるため、ブランディングの観点でもメリットがあります。
こうした状況を受け、木構造メーカーには、新たなビジネスチャンスが広がっています。
特に大規模ショッピングモールやオフィス複合施設では、大スパンを要する空間設計や荷重に耐え得る構造の開発が必須となるため、高度な技術力と実績が求められます。
公共建築で培ったCLT工法や燃え止まり設計などのノウハウが活かせるほか、施工期間短縮やコスト面でも優位性を発揮できる可能性があります。
一方で、今後さらに木造需要が拡大すれば、供給面の課題が浮上することも考えられます。
国内の森林資源は豊富であるものの、伐採や流通、加工のインフラが追いついていない地域も少なくありません。
人材不足や機械設備の老朽化など、産地側の問題をクリアしなければ、大口需要に対応し続けることは難しいでしょう。
これらがうまく連動すれば、民間建築分野での木造化がさらなる飛躍を遂げ、日本全体の脱炭素戦略にも寄与することが期待されます。

都市(まち)の木造化推進法(正式名称:脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律)の施行以降、公共建築を中心とした木造化・木質化の波が日本各地で広がっています。
この動きは、カーボンニュートラルや森林資源の循環利用、地域経済の活性化といった複数の目標を同時に達成するものであり、公共建築の成功事例を足掛かりに、民間建築にも大きな波及効果をもたらすと期待されています。
実際、学校や福祉施設、庁舎などの公共施設で培われた大規模木造のノウハウは、オフィスビルや商業施設、集合住宅など、多様な用途の建築物へ応用が進んでいます。
特に、CLT工法や燃え止まり設計といった技術革新により、耐火性能や大スパン空間の実現が可能となったことが大きなブレイクスルーとなっています。
さらに、脱炭素社会を目指す企業の増加や、木質空間がもたらす快適性の認知拡大によって、民間ビルディングへの木造採用が現実的な選択肢として広がり始めているのです。
しかし、需要の増大に伴う木材調達体制の整備や、専門技術者の育成不足といった課題も顕在化しつつあります。
これらを解決するためには、国や自治体のさらなる政策支援はもちろん、産学官が一体となって技術開発や人材教育に取り組むことが不可欠です。
建築物木材利用促進協定のような枠組みを活かし、林業から設計・施工までのサプライチェーン全体を最適化することで、持続可能な木造建築の未来を切り拓くことができるでしょう。
ウッドリンクは、中大規模木造の普及を担う木構造メーカーとして、公共建築・民間建築を問わず幅広いプロジェクトに参画し、これまでに多くの成功事例を積み重ねてきました。
設計者や事業者が抱える法規制やコスト、耐火性能といった課題をクリアし、安全性と快適性を両立させた建築を生み出すためのノウハウを蓄積しています。
今後も、都市(まち)の木造化推進法を後押しとしながら、ネットワークを広げ、より多くのパートナーと協働して木造化・木質化を促進していく所存です。
最終的に、こうした取り組みが木造建築のさらなる価値向上につながり、地域や社会へも大きな恩恵をもたらすことが期待されます。
脱炭素社会の実現という高い目標に向けて、公共から民間、そして地域へと広がっていく木造化のうねりは、今まさに大きな転換期を迎えています。
ウッドリンクは、その変化を力強く支える存在として、今後も木構造技術の発展と普及に努めてまいります。
ウッドリンクは、公共建築から民間建築への木造化波及を見据え、中長期的な視点で未来戦略を構築しています。
これらの取り組みを通じて、建築業界全体における木造化の可能性を拡大していく考えです。
中大規模木造にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
ウッドリンク は 中大規模木造 の頼れる パートナー
ウッドリンクを一言で言えば、「木造建築の構造体メーカー」です。
ウッドリンクでは阪神大震災を機に構造体の独自開発をスタートし、耐震性と断熱性に優れた高品質軸組パネル「プレウォール工法」を開発しました。
現場加工ではなく、プレカットと呼ばれる工場加工を行うことで、品質の安定した高精度な構造体を提供することができます。
降雪地帯で湿度の高い、北陸の気候に適した「プレウォール工法」。
その高い信頼性が支持され、ウッドリンクは構造体メーカーとして北陸No.1シェアの実績があり、倉庫や店舗、高齢者施設などの非住宅の用途にも多くの実績があります。