はじめに
木造建築は、住宅向けに多く使用されてきた建築手法ですが、最近では、建築技術や性能が飛躍的に進化し、商業施設や業務施設などの非住宅建築においても採用されるケースが増えています。
特に、倉庫、店舗、事務所といった施設を木造建築で計画することは、コストやデザイン、環境への配慮など多くのメリットがあります。
本記事では、倉庫、店舗、事務所を木造で設計・施工するメリットについて解説します。
このコラムでわかること
倉庫、店舗、事務所を木造で計画するメリット
コスト
木造建築の最大の魅力の一つは、コストパフォーマンスの良さです。木材は鉄骨やコンクリートに比べて軽量であるため、基礎工事や構造部分のコストを抑えることができます。さらに、木材は加工しやすく、施工現場での作業時間が短縮されるため、作業コストも削減することが可能です。
特に、プレカット材の利用によって、現場での組み立て作業が迅速に行えるため、工期の短縮が可能となり、結果として全体の建築コストを抑えることができます。
また、木材は地域で調達可能な場合も多く、輸送コストの削減にもつながります。さらに、 木造建築は他の建材に比べて材料費が比較的安価であり、総合的に見て非常にコスト効率が高いと言えます。特に、倉庫のように広大な空間が必要な場合、木造での建築は初期投資を抑える効果が大きくなります。
償却年数
建物の償却年数は、企業の財務戦略に大きな影響を与える重要な要素です。
一般的に、木造建築の耐用年数は22年とされており、鉄骨造(34年)やRC造(47年)に比べて短く設定されています。この短い償却年数は、企業にとっては大きなメリットとなります。
なぜなら、建物の償却費を短期間で計上できるため、税務上の負担が軽減され、資産の回転率を高めることができるからです。
特に、早期に償却を進めたい企業や、事業展開を迅速に進めたい場合、木造建築は有効な選択肢の一つになります。
デザイン・機能性
木造建築は、デザインの自由度が高く、機能性にも優れている点が大きな魅力です。
木材は加工が容易で、曲線や複雑な形状を取り入れたデザインが可能です。これにより、他の素材では実現が難しい独自の外観や内装を持つ建物を設計することができます。
特に店舗では、外観や内装のデザインが集客に直接影響するため、木造建築の柔軟なデザイン性は大きなメリットの一つです。また、木材の持つ自然な風合いは、顧客に温かみや安心感を与える効果があります。
また、事務所において木造の空間は、居心地が良く、働きやすい環境を提供します。
木の香りや質感は、従業員のストレスを軽減し、業務効率を向上させる効果が期待できます。さらに、木造建築は空間の使い方にも柔軟性を持たせることができ、用途に応じたレイアウト変更が容易です。
倉庫では、木造ならではの大空間を確保しつつ、必要に応じて間仕切りや棚の配置を変更し、運用効率を最大限に高めた設計ができます。
脱炭素の実現
近年、地球温暖化や環境保護の観点から、脱炭素社会の実現が求められています。
木造建築は、この脱炭素社会の実現に大きく貢献する建築手法です。
木材の生産や加工には、他の建材に比べてエネルギー消費が少なく、結果として製造過程での二酸化炭素排出量も抑えられます。さらに、木造建築は解体時にも再利用やリサイクルが可能であり、廃棄物の削減にも寄与します。
これらの要素から、木造建築は環境に配慮した 持続可能な建築手法として、今後さらに重要性が高まると考えられます。
特に大手企業様にとっては、木造建築はCSRやESGの観点からサステナビリティを強化し、環境負荷を低減する重要な選択肢です。
耐火・耐震性
木造建築は、耐火・耐震性においても鉄骨、コンクリート造と同様の強度をクリアすることができます。
従来、木造は火災に弱いとされていましたが、現代の技術では、耐火性能を大幅に向上させることが可能です。例えば、火災時に表面が炭化して内部を保護する「自己保護機能」を持つ木材や、耐火被覆を施した木材を使用することで、建物の耐火性能を確保しています。
また、木造建築は、軽量で柔軟性が高く、地震の揺れを吸収する特性を持っているため、高い耐震性も確保できます。
特に店舗や事務所、倉庫など、多くの人が利用する施設においては、こうした安全性の確認が不可欠です。
以上のように、店舗、事務所、倉庫を木造建築で計画するには、多くのメリットがあります。
実際に当社でも、これまでに多くの木造建築物の設計・建築実績がありますので、現在、木造建築を検討されている場合は、お気軽にご相談ください。
倉庫、店舗、事務所の木造建築事例
性能とデザインを追求 倉庫兼事務所
こちらの建築事例は、快適性と採算性に配慮し、細部までこだわって実現した施設です。
パネル工法 で唯一、耐力面材を内部、断熱材を外部へ配置する 「真壁サンドイッチ構造」を採用しました。また、プレウォ―ル工法を取り入れたことによって、広々とした吹き抜けも実現しました。
さらに、施 工メリットとして工期は、7日短縮となっています。
CLTと大断面集成材の大空間 ウッドリンク富山店
「木の素材感による癒しや温もりといった効果が、オフィスでも感じられる」という事を自社案件にて試みた事例です。
1階、2階とも壁部分にプレウォールを採用しており、プレウォールは非住宅用の24mm合板を使用した仕様となっています。内部耐力仕様で、内側に断熱材ネオマフォーム66mmを使用。長手方向の耐震性は全てプレウォールで負担し ております。
非住宅建築物の木造化は、木造化ラボにお任せください
今回の記事では、倉庫、店舗、事務所を木造で計画するメリットについて紹介しました。
倉庫、店舗、事務所を木造での建築をする場合は、上記のような多くのメリットがあります。 当社では、木造住宅の設計、建築、施工の豊富な経験・実績を用いて、商業施設や業務施設の木造化も高い基準で実施しています。
倉庫、店舗、事務所の木造化を検討されている場合は、まず当社にご相談ください。